大和の寺は、なべてゆったりとしている。庭があっても、京都のお寺のように人工美をそなえていない。松林がある雑木の林、なんとなく自然の中にある、自然があるのでゆったりとしている。斑鳩の里は生駒山の背中にあり、大和と河内を結ぶ千古の歳月を過ごした風景の中に、世界最古の木造の五重塔がシンボリックに浮かんで美しく建つ。 法隆寺への表参道、松並木のアプローチに立ち止まる、イントロなしで法隆寺の門をくぐると、なんだか息の詰まりそうになる、法隆寺は、空まで高く古く、とても堅牢そのものだから。付近には藤の木古墳をはじめとする古墳時代の遺跡が存在する、ゆっくり一日いても決して退屈しない斑鳩の里、聖徳太子が推古13年(605年)飛鳥から斑鳩に都を移して1600年をこちらに引き寄せ、時を逆転させながら歴史の風情との逢引き、心を豊かに法隆寺の山門をくぐる。