べんがらの産地として栄えた「赤い町並み」

　　岡山の山地に位置する吹屋集落は、吹屋銅山より産出されたベンガラの出荷地として、江戸時代から明治時代にかけて繁栄した。当時ベンガラを産したのは、日本では唯一吹屋だけだったという。
　酸化鉄から、つくられるベンガラは染料として陶器や布の染料などに使われた。吹屋の町並みの家屋にも格子の塗料に用いた屋敷が多く見られる。石州川原の赤褐色とあいまって「赤い町並み」と言われる独特の景観を作り出している。古い町並みの現在の度合いから見ても全国有数と言ってもいいだろう。
　吹屋の町並みの外れにある広兼邸はまるで城のような立派な石垣だ。銅山の生み出した莫大な利益を象徴している。映画「八つ墓村」のロケ地として使われたことでも有名である。